■ 「みんな」トリック ■
 ※ 2003年12月~2004年6月掲載 沖縄タイムス教育コラム「どんぐりころころ」

「マザーコーチング」。
子供にとってコーチ的存在である母親からのコーチングは、
こう呼ばれています。
私にとっても、人生最初のコーチは、母でした。

「これ買って」とねだる私に、
母は、すぐにダメ!と突っ返すことはしません。

母「どうしてそれが欲しいの?」
子 ― だって、みんな持ってるんだもん。
母「みんなって、だぁれ?」
子 ― え~と、AちゃんとBちゃんと…。

こうして「みんな=実は三人くらい」で、
全員ではなかったということがハッキリし、私は納得して一件落着。
このハッピーエンドの鍵は、母からの否定・説得ではなく
「相手の納得を引き出す」というコーチの視点にあります。
私に敗北感を残さない、母の見事な勝利でした。

マザーコーチングで鍛えられたお蔭で、
一つ一つ考えて進むようになった私は、その結果、
どうやら多くの方が「一般的に通る」と言われている道を
通っていないようです。
私なりの理由から、高校の卒業パーティー・成人式は欠席。
振袖を着たこともなく、記念写真もナシ。
大学の卒業式は、母に借りた紺のスーツで出席。
その話をするたびに、
「みんな通る道だとばかり思っていました」と驚かれ、
こちらが逆にビックリです。

これが「みんな」トリック。
このトリックを解く経験をもたないまま
「みんな」から「フツーそうなんだって」となり、
そのまま「世間では…」とすっかり板について、
このトリックに流され、縛られ、振り回されて、
自分の判断・決断ができず困っている人が、案外多いのです。 
ダダをこねる子供さんのトリックを見破り、
スッキリと納得・解決を引き出すためにも、まずは親の皆さん自身が、
トリックに縛られない視点をもつことが大切。

その言葉の根っこにあるのは、本音なのかトリックなのか、
それとも別のメッセージ?

子供さんにも、そして自分自身にも、聞いてみて下さい。

・ 「みんな」はどうであれ、あなたは、どうしたいですか?

・ 一般的にそう言われていても「あなたの本音」は、どう言っていますか?

それでは、またいつか・どこかで。

あした…「転機」に、なぁれ!

・註・
原稿は、当時のままで掲載しておりますが、現在は「コーチとして」ではなく
「コーチングの手法も活かしつつ」哲楽家として活動しています。
ご了承下さい。


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