「救命おぼえうた☆みんなでPUSH!」 2014年8月、完成しました! ・
・歌詞・
1:もしも その時 キミがいたら 勇気を「PUSH!」 さぁ始めよう
2:まずは自分の 安全確認 そして声かけ 反応はどう?
3:反応なければ 応援呼ぼう 119番! AED!
4:呼吸を確認 いつもと違えば 胸の真ん中 1・2「PUSH!」
5:もしも「よくわかんない...」 迷った時は 勇気を「PUSH!」 迷わず「PUSH!」
6:肘を伸ばして 強く速く 休まず「PUSH!」 まっすぐ「PUSH!」
7:近くのみんなで 力合わせて 交代しながら 絶え間なく「PUSH!」
8:AEDが 到着したら まずは開いて 電源「PUSH!」
9:大丈夫だよ AEDは 教えてくれる 落ち着いて
10:イラスト通りに パッドを貼って AEDの 指示を聞こう
11:もしも「ショックが必要です」 指示が出たら みんな離れて ボタンを「PUSH!」
12:救急隊が到着するまで みんなで「PUSH!」 続けよう
13:大切なのは キミの勇気 みんなで「PUSH!」 つなごう
キミの勇気に ありがとう! 1・2「PUSH!」
【歌詞監修】 PUSHプロジェクト ・ 沖縄PUSHプロジェクト
作詞・編曲・演奏 : 紀 々 (p)&(c)2014 kiki
・ 救助隊の皆さんとの出会い… ・
ライターとしての初挑戦後、自分の未熟さにかなり落ち込み、一念発起して「インタビューの自主練習」として始めた「社外報!」。最初にご協力下さることになったのは、高度救助隊の隊長さんでした。駆け出しライターの自主練習にしては、迫力・臨場感ありすぎる取材現場に…衝撃でした(笑)。自主練習なので字数に制限もなく、張り切ってエピソード3まで、そして番外編までできました!
屋良剛 隊長(那覇市消防本部 西消防署 高度救助隊 消防司令補) ※インタビュー当時:2013年5月

屋良隊長(中央)と、高度救助隊の皆さん
・隊長への最初のインタビュー2013年5月「社外報!」
・2014年3月号「ドクターズプラザ」健康インタビュー
2014年5月に「ドクターズプラザ」のインタビュー後、屋良隊長にお願いして、まだ出来たばかりの「救命おぼえうた(仮)」を聴いて頂きました。「せっかくなら、みんな呼びましょうね」と、救急隊・救助隊の皆さんも集まって下さって…忘れられない食堂LIVEとなりました!

2013年5月 初めてお会いした時のインタビュー終了後、記念の一枚♪
・ プロが、プロの役割に専念できるために…私たちにできることを! ・
もうお一人、私が救命講習を受講する背中を押して下さった先生がいらっしゃいます。インタビューラジオ【ヘルスケアプランナー 紀々が聴く!】にご出演下さった、内藤博敬先生(静岡県立大学環境科学研究所)です。

2013年 番組の収録風景。
静岡で防災対策にも取り組んでいらっしゃる内藤先生と、八木先生とご一緒にお話した時に「災害の現場で沢山の人が怪我をしたり倒れている場合、お医者さんだけではとても手が足りない。応急手当は、お医者さんでなくてもできることなので、八木先生のような方々が先生でなければでいないことに専念できるよう、それぞれが応急手当などできるようにしておくことが大事。」というお話がありました。
また、感染症・環境・防災などの話だけだと、特に子どもにはとっつきにくいイメージもあるので、関心を持ってもらう入口として「サイエンスショー」をなさっているというお話をうかがい…その工夫に感動し「うたや音楽も、楽しく関心を持ってもらうきっかけになるのでは」と思ったのでした。
放送の中でもその後にお会いした時でも、先生のお話はとてもインパクトがあり、いよいよ「私も、できることをやらなっくちゃ!」という思いが高まりました。ところが、月に1度の救命講習の日程になかなか都合があわず…1月、自分の舞台本番の間近ではありましたが「今しかない!」と申し込むことにしたのでした。
自分で受けてみて一番に驚いたのが、予想以上に胸骨圧迫は体力を消耗するということ。これを、救急車が到着するまで一人で続けるのは…私の体力では無理。これを解決する方法を哲楽した時に浮かんだ選択肢は、二つ。
体力をつけるか、交代できる人が一人でも多い環境をつくるか…。
自衛隊で働く先輩から「自分でも大変だった」という声を聴き、心は決まりました。こんなに体力がある人でも、一人で大変なら…「普通の体力の人が、交代しながら続ける」ことが一番だと。
こうして、体力づくりという案は消え「一人でも仲間を増やす!」案に決めたのでした。そのためにはきっと「PRソング」が力になるはず!と。
・ 曲と歌詞の哲楽と、そして、できるまで… ・
「救命おぼえうた」については、一番大事なことは【歌詞】だと考えていました。感情を込めるのではなく、正しい情報であることが最優先。手順を間違ってはいけませんから。曲と歌詞を両方を新しく覚えるのは大変なので、オリジナルを作るよりも「すでにみんなが知っている曲」で替え歌にしました。
選ぶ基準は、まず2つ。
・世代を問わず、誰もが親しんでいる…シンプルな曲であること
・この後に広めていくために、コストが発生しないよう「著作権使用料が発生しない、古い曲」であること
この基準に合ったものをいくつか思い浮かべ、口ずさみながら選んだのが…「ロンドン橋落ちた」です。
歌詞は、とにかく講習で習った順番通りに。
ただ、うたで大事なことは「これだけは伝えたい!」というポイントがあること。たとえ手順を忘れてしまったとしても「これだけは忘れないでほしい!」という何かを入れようと思っていました。
そこで選んだ言葉は…「勇気」。
救命の場で私たちに必要なのは、技術より知識より「まずは、勇気!」だと思ったので。
もしもその場に居合わせた時…一歩を踏み出す「勇気」、講習をまだ受けたことがない方が受けに行こう!という「勇気」。
「私で、いいのかな? 私で、大丈夫かな?」という声にいくつも出会う中で…「大丈夫。どんな名医より、これから到着する救急隊より、今そこにいるあなたこそが、命を救える一番の可能性をもつ人なのだから。」と伝えなくちゃ!と思ったのでした。そして、そこにいる方々みんなの勇気を持ち寄ってほしいと。

2014年5月 NHK「ニュースウォッチ9」取材現場より。
企業のテーマ曲やCMの場合、印象に残ること・気に入って口ずさんでもらえることが大事。あまり情報を細かくたくさん詰め込みすぎると、かえって何も残らなくなってしまいます。「覚えようと思わなくても、なんだか頭から離れなくなってしまう」…これが、目指すところ。私は、そんな仕事をしてきたのでした。
なので「覚えにくい・忘れやすい」ことを覚えてもらうためのうたづくりは、ピッタリの出番なのです。「ラララ♪りうぼう」の経験も、ここに活きています。
「肘を伸ばして」は、私自身が疲れてくると肘が曲がってしまいがちで、講習で実際に講師の方から「肘を伸ばして下さい」と注意された経験から入れました。まずは、記憶をたよりに歌詞をつくり、それを、消防の方に見てもらいました。一番最初に聴いてもらったのは、講習から6日後、一人舞台の終演後のロビーで。ちょうど会場に観に来てくれていた下地隊長に、聴いてもらいました(笑)。
「AEDの電源、入ってないような…」「プラグは、メーカーによっては最初からつながっているものもあるから…」など、色々な意見を頂き、歌詞を加えたり「プラグを入れて」→「プラグを確認」など修正しながら、少しずつ進んできました。
最終的には「動作も見て覚える・思い出せるように」、うたとうたの間に実技と解説を入れた動画にしたいと思い、その分の間合いをつくりました。長めの伴奏が間に入っているのは、そのためです。
・ 忘れないために、思い出すために、「いつか」のために… ・
ちょっと明るすぎるかな? あいうえお順とか、もっと覚えやすい工夫をするべき? …つくってはみたものの、実は、気がかりがありました。それをご相談したところ、救命に関わるプロフェッショナルの方々からは、次のようなコメントを頂きました。
「完璧に覚えていなくてもいい。日頃、何となく目にする・耳にするだけでも、いざという時にはずい分ちがうものだから。」
「実際の現場は、とても緊迫しています。もちろん、明るさもありません。でも、日常は明るくていいじゃないですか!楽しいからこそ、口ずさんでもらえる。特に子どもはそうです。どうしても、プロの我々が伝えようとすると固くなるもの。だからこそ、こういううたがあると楽しく伝わって素晴らしいと思います。」
「緊迫した出来事は、少ない方がいいんです。救命講習のご要望が増えると忙しくなりますが、そんな忙しさの方が絶対に良い。講習に足を運んでもらう中で、ポスターも見てくれるかも知れない、そうしたら消火器の使い方の講習やその他のことにも関心を持ってもらえるかも知れません。講習で忙しくなれば、緊迫した出番は必ず減ります。そうすれば、隊員が危険にさらされることも減ります。それが一番良いんです。」
最後のコメントは、消防署の署長さんからのものです。この取り組みの中で、私が目指すべきところがハッキリ見えた気がしました。
命をつなぐこと、そのために…笑顔が生まれる場をたくさん増やすこと、そして、一歩を踏み出す勇気を支えること、そのためのきっかけをつくること。
きっと、そういうことなのだと。
これから、同じ想いをもつ様々なみなさんと一緒に、うたを通じて「命をつなぐ」取り組みをワクワク進めていきたいと思います。一人ひとりのチカラを信じて、うたのチカラを信じて。

2014年5月のLIVEにて...「救命おぼえうた(仮)」お届け中。NHK「ニュースウォッチ9」の取材カメラもご一緒でした。
※衣装協力:首里高校染織デザイン科クラフト部・モンシャポー研究所(帽子)
・ PUSHプロジェクトとの出会い ・
「救命おぼえうた(仮)」が出来て、思いがけずNHK「ニュースウォッチ9」の取材をお受けすることになり…そんな中で、このうたを見つけて下さったのが沖縄PUSHプロジェクトを立ち上げられた救急の先生でした。しかも「はじめまして」ではなく、以前に沖縄県ドクターヘリとドクターカーの取材でもお世話になったこともあったというご縁!ビックリでした。
私のうたを聴いて下さった方々からは、様々な地域から色んな声を頂くようになりました。救急医の方々からもいくつもの声を頂き、歌詞を完成させるには、私一人では無理かも…と途方に暮れた時期もありました。
そんな中、少しでも前に進むきっかけをと思い、ご挨拶かたがたPUSHの講習会にうかがうことに。PUSHプロジェクトの方々もいらしていて、色んなお話をすることが出来ました。

※PUSH講習会で各自に配られていたツール…かわいかったです☆
正直に状況・気持ちをお伝えしたところ「では、こちらで歌詞の監修を」とご提案頂き、ここからもう一度、仕上げに向けて歩き出す元気が生まれました。何度も試行錯誤・やりとりを重ね「PUSHの救命おぼえうた」が出来ました。その後、これまでの「救命おぼえうた(仮)」と統一して新しく【救命おぼえうた~みんなでPUSH!】として、いよいよ完成形となりました!
・もうひとつの…救命のうた・
そもそも、紀々がなぜ「うた」をつくるようになったのか…は、「うた」の哲楽をご覧下さい m(_ _)m
・ ・ ・
講習会でうたってもらうことをイメージしていたのが「救命おぼえうた」。でも実は、講習会に参加するまでのハードルの高さがある…ということが見えてきました。忙しい日々、そして、ちょっと不安もある。それは、私自身も同じでした。なので、そんな皆さんの不安が少しでも小さくなって「行ってみようかな」という気持ちの支えとなればと思い、もうひとつ、うたを作りました。それが…「手」です。
救命講習会で初めてお披露目した日。一番前のテーブルに小さな子どもさんと参加されていたお母さんが、涙を流して下さっていました。後でお話をうかがうと、お子さんを心臓突然死で亡くされたそうです。「紀々さん、ありがとう。」という言葉に、私も救われた気がしました。
特に子どもたちに関心と親しみをもってもらうために…と「うた」に注目して下さっているのは、救命も食育も共通しているようです。正しさ・理論を重視するあまり、長く・複雑になると、かえってとっつきにくくなってしまう。「入口のハードルは低く、そして、楽しく!」…これが、紀々の哲楽です。このうたは、そんな哲楽から生まれました。

「ニュースウォッチ9」を見てくれた友人から、とってもかわいい写真が届きました。テレビを見て、ぬいぐるみで胸骨圧迫の実践中!「肘がちゃんと伸びてるね~」と言ったら「テレビで、肘を伸ばしてって言ってたから」と答えてくれたのだとか。こんな風に、楽しく日常の中で広まっていったらうれしいなぁ…勇気をもらいました。

県民健康フェアにて、「ゆうりきや~」のお二人も、PUSH!ご一緒下さいました!