■ 親の夢・子の夢 ■
 ※ 2003年12月~2004年6月掲載 沖縄タイムス教育コラム「どんぐりころころ」

「握手して下さい!」。
電子オルガン奏者だった私は、終演後、
よく親子から声をかけてもらうことがありました。
そんな時、まずは子供に聞いてみます。

「どうだった?」。

「感動したよね。スゴかったねー!」
すぐに返ってくるのはお母さんの声。
「音楽教室、行ってるの?」と私。
「ピアノ習ってるのよね。発表会で、ホラ、
お姉さんの弾いてたディズニーの曲やったのよね…」

止まらないお母さんのコメントと、
停止ボタンが押されたようなお子さん。
不思議な光景ですが、実は、よくある一幕でした。
そんなお母さんから
「子供に、レッスンを」と頼まれる時の私の気持ちは…
「きっと、熱心な生徒さんになるんだろうな。このお母さん!」。

「私は、もう若くないから」「家に音楽のある生活が夢だった」など
理由は様々ですが「子供に夢を託して」というのが共通しているようでした。
子供には、子供の夢があるのに…。

小さい頃「夢を託された」子が、無理に音楽教室へ通わされたために、
楽器が嫌いになったり、弾けない・楽譜が読めないという劣等感をもつケースを、
私はいくつも見てきました。
音楽家の私から見ると、「高い楽器も買ってあげたのに」と
親子ゲンカの原因となり、弾いてもらえない楽器も、
お母さんもお子さんも、みんな幸せとは思えず心が痛みました。

そんな時、娘さんが弾かなくなったピアノを、
熱心に練習しているお父さんに出会いました。
ピアノのある小さなレストランで
「プロの前だとちょっと緊張するなぁ…でも聴いてもらえますか?」
食事もお酒もそこそこに、Tさんはピアノの前へ。
まるで発表会の子供のようにキラキラと得意気で嬉しさいっぱいの姿に、
ハッとしました。

「そうだ!自分の夢は、自分の人生で叶えたらいいんだ。」。
それが、親にとっても、子供にとっても、
そして楽器にとっても幸せなことなのだ、と。

子供に夢を託したいと思っている親の皆さん!
子供へ向けている情熱と時間を、ちょっとご自身へ向けてみませんか?

「あなたの夢は、何ですか?」

「そして、お子さんの夢は?」

・註・
原稿は、当時のままで掲載しておりますが、現在は「コーチとして」ではなく
「コーチングの手法も活かしつつ」哲楽家として活動しています。
ご了承下さい。

・註・
原稿は、当時のままで掲載しておりますが、現在は「コーチとして」ではなく
「コーチングの手法も活かしつつ」哲楽家として活動しています。
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