紀々が出会ったプロフェッショナルを、紀々の視点でご紹介する…「社外報!
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◆ … ・ file.1 : 2013年5月16日のプロフェッショナル ・ … ◆

屋良 剛(やら・つよし)


職業 : 那覇市消防本部 西消防署 高度救助隊 消防司令補
この道 : 22年

屋良隊長のインタビューは、隊員の皆さんにもお話をうかがえたので
何回かに分けてお届けいたします。
まずは「エピソード・1」から…。

「プロフェッショナルなら、この人を!」
憧れのリーダーなので…と推薦を頂き、お話をうかがえることになった
屋良隊長のインタビューは、馴染みのある那覇消防本部にて。

会議室かどこかでお話をうかがって、それから少し
職場の様子の写真を撮らせて頂く…
という流れをイメージしていましたが、待ち合わせは車庫でした。
到着すると、迎えてくれた消防のSさんが
「先に、訓練を見てもらった方がいいかと思うので」と一言。
その後、どこかへ電話をかけていました。

私は、ちょっとしたトレーニングのようなものを勝手に想像していて、
カメラを出して、名刺交換のために名刺入れを探そうとしていたら、
大きな消防車が登場。



「来ました!」という声が聞こえ、Sさんに着いて行くと
そこには車と、車の下敷きになった、人間にそっくりな人形が。
「ここです、ここです!!」
さっきまで普通に会話していたSさんが、
大きな声で消防車に呼びかけながら駆け寄り、
人形が下敷きになっている車の方へ誘導し始めました。

ここは、交通事故の現場。これが、訓練なんだ!



消防車のドアが開くと、次々とオレンジ服に身を包んだ
救助隊の皆さんが出てきて、声をかけ合いながら
テキパキと準備をし、事故車のもとへ。

スピード感・緊張感あふれる空気の中でも、
焦り・アタフタ感はない…不思議な安定感という印象でした。
その一方で、思いがけない突然の光景に、
カメラを持つのがやっとで、どこをどう写したらいいのか
そもそも今回の主役である屋良隊長がどの方なのかも
わからず、足が動かなくなってしまった私(笑)。

「危ないですから、皆さん離れて下さい!」(これも訓練の一環)
という隊長の大きな声に、思わず1~2歩下がってしまった私に、
Sさんが「紀々さん、隊長を撮るならこっちの方が」と
近くに連れて行ってくれました。

「これから、車を持ち上げます。…」と、
隣で解説してくれているSさんの声に耳を傾けながら、
すぐ目の前で展開される救助劇にどうにか追いつこうと
必死にカメラを向けていました。

あまりの緊迫感に「すごく厳しい方だったら…どうしよう」
そんな小さな不安が頭をよぎりつつ(笑)。

無事に車の下敷きになっていた人(人形)が救出され、
ひと段落したことがわかりホッと力が抜けた時、
「はじめまして、紀々さん!」との声が。
先ほどまで、様々な指示や声かけをしていた“あの声”でした。

振り向くと、オレンジの服に身を包み
笑顔の男性がこちらに歩いて来る姿が。

「うまく話せる自信もないので、
まずは、実際に見てもらった方がいいと思い、
最初に訓練を見てもらうことにしました。
インタビューは…なんだか、ドキドキしてきました。」

笑顔にホッとしつつも、
いやいや、突然の出来事にドキドキしたのは私です…
と心の中でつぶやきながら、まだドキドキがおさまらないまま、
「あ~、緊張するなぁ」と苦笑いの隊長と一緒に、インタビューの部屋へ。
いよいよ、お話うかがいます!

◇ 紀々
はじめに…屋良隊長にとっての
「プロフェッショナルの仕事道具」をお持ち頂いたと思うのですが
それを見せて頂けますか?

屋良隊長
何がいいかなと考えたのですが…
やっぱり(4名の隊員の方々に顔を向けて)「この4人」です!
5人でいつも一緒にいるので、一番大事なチーム。
だから、今日のインタビューも一緒に参加させて下さい。


※訓練終了後、4名の隊員の皆さんと。


◇ 紀々
もちろんです!
(というわけで、5人の皆さんと輪になってのインタビューとなりました)
屋良隊長にとって
プロフェッショナルとしての笑顔・モチベーションに欠かせないものについて
聞かせて頂けますか?


屋良隊長
現場では、私たちは笑顔・白い歯を見せることはないんです。
ただ、普段の職場での笑顔や、モチベーションを高めるスイッチとしては、
(向かいの隊員の方を指して)この「オレンジ服」ですね。
朝、袖を通した時にスイッチが入ります。
たとえ家で何があっても。

オレンジ服は、誇りです。
那覇市の消防職員270名の中で、高度救助隊は15名だけ。
誰もがなれるわけではないですから。



※ 訓練が終わると、空気も表情もリラックス。明るいオレンジに笑顔が似合います!
☆後列左より、伊舎堂真澄さん・屋良剛隊長・山城勇樹さん。前列左より、宮平辰史さん・山口鉄矢さん

◇ 紀々
憧れのオレンジ服なのですね。

屋良隊長
いいこと言いましたか?今。
(一同大笑い)

こういうのは緊張しますね。
言葉にする自信がなかったので先に訓練を見て頂きましたが、
今日は、訓練がうまくいってよかったです。
もしダメだったら、
インタビューもなしで帰ろうかなぁと思っていましたよ。
(またまた、一同大笑い)

救助の現場では、早さと、
助けを必要としている人に落ち着いて・安心してもらうことも大切。
だから、先ほど見て頂いたように「声かけ」もします。
(今何をしているかの説明や、頑張りましょう、といった声かけをされていました)
早さは大事ですが、その後の社会復帰が出来るために
後遺症のリスクをなるべく避けるように考えながら救助を進めます。
チームの「あうんの呼吸」も大切です。


※ 屋良隊長の目線の先には、いつも4人の隊員の皆さんの姿がありました。


※ 声をかける、目を合わせる、その向こうで…「心」を合わせているような気がしました。

エピソード・2に、続きます。

・紀々の哲楽メモ・

訓練では、とにかくお互いに声をかけ合っている…というのが印象的でした。
そういえば、以前に料理のプロからも
「戦場」と呼ばれるキッチンで、声かけが効率や怪我・事故の予防に
大切であると聞いたことを思い出しました。
極限の現場での「報連相」のカタチを見せて頂いた気がします。

インタビューでは、本当に笑顔がいっぱい。
屋良隊長の言葉との掛け合いにも「あうんの呼吸」を感じました!

・追伸・
医療系フリーマガジン「ドクターズプラザ」2014年3月号の健康インタビューでも、
思いがけず、屋良隊長へのインタビューを担当させて頂きました!




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