紀々が出会ったプロフェッショナルを、紀々の視点でご紹介する…「社外報!
「社外報!」への想いは、こちらをご覧下さい。


屋良隊長と隊員の皆さんのインタビュー
「エピソード・3」を、お届けします。
エピソード1と、エピソード2も、あわせてどうぞ♪

◇ 紀々
日々の恐怖感とは、どのように向き合っているのですか?

屋良隊長
まずは、訓練です。
一人では乗り切れない恐怖でも
「みんなで協力したら、どうにかなる」と思えると、恐怖感は軽くなります。
救助隊は、一人で活動することはありませんから。
最終的に命令するのは私ですが、私だけではうまくいきません。
みんなで、力と意見を出し合って、そして、最後に私が判断します。
決めたら、全員でひとつの方向に向かって行きます。


◇ 紀々
プロとしての高いモチベーションを保つための工夫は、何かありますか?


屋良隊長
私たちは、とにかくどうにかして助けなければいけません。
「参った!」と言うのが許されない状況に身を置く恐怖感も、
モチベーション維持につながっているのかも知れないと思います。

◇ 隊員の皆さん
自分にとっては「できない」と言うことが許されない怖さです。
隊長からの指示を受けてできなかった場合は、とんでもないことになる。
なので、その怖さがモチベーションになっています。

屋良隊長
そのために、大切なのが日々の訓練です。
同じ現場はないので、様々な訓練をしています。

◇ 紀々
プロとして意識されていることは?

屋良隊長
「対外的には、カッコよく」。
でも、本当の救助隊はそんなことはないのです。
もしかしたら弱々しいかもしれないし、いつも恐怖感を抱えています。
こんなことがあったらどうしよう…と考えることもあります。
でも、子供たちや一般の方々から見ると
「かっこいい!」と言ってもらうことも多いので、
制服もちゃんと着て、歩き方も意識しなさいと指導しています。
こうして外からはかっこよく見えるように意識しつつ、
自分でうぬぼれてはいけないとも話しています。
スターではありませんから。

ただ、子供たちはもちろん、職場の後輩たちからも
「救助隊になりたい!」と言われたら、それだけでとても嬉しいです。
これが、私たちの喜びでもあります。
だから、目標にされるようなプロの姿であるようにと思っています。

あの…本当は、かっこよくはないですけどね(笑)
現場では、それこそ“ただ一生懸命”ですし。
日ごろの目標という感じでしょうか。

◇ 紀々
50%が「死」に直面するという現場で、「やりきれなさ」はないのですか?

屋良隊長
たくさんあります。
子供を失った家族、親を失った子供、家を失った一家など…様々な場面を見て、
帰る時に「その後どうしていくのだろう」と思うことはたくさんあります。

◇ 紀々
そんな気持ちは、どうやって回復しているのですか?

屋良隊長
PTSDを防ぐためにも、みんなで話すことを大切にしています。
一人で黙って抱え込まず、帰りの車の中でも声に出して
話し合ったり振り返り・反省をします。
それが、心の和みにつながると私は思っています。


※ 訓練終了後は、すぐに現場で振り返り。

◇ 紀々
隊員のみなさんから見て「屋良隊長」をひと言であらわすと…どんな人ですか?

屋良隊長
ちょっと散歩に行って来る…。
(本当に、出かけてしまいました!)

◇ 隊員の皆さん
仕事でも、私生活でも「追いかけたい人」です。
敵をつくらず、誰とでもうちとけられる人。

切り替えが上手な人。
OFFの時は、今のようにとても明るい。
訓練の時の統率力と、また違う統率力があります。


(ここで、副隊長の無線に屋良隊長から連絡が…)

屋良隊長
「終わったか?」

◇ 副隊長
今、隊長の悪口を言っているところです(笑)

屋良隊長
今のうちに言っとけよ~!

(一同、笑い。その後、気を取り直してインタビュー再開。)

◇ 隊員の皆さん
現場でも「背中で語る」人、救助隊のかがみです。
「オレを見て、来い!お前たち!!」という感じです。

ひょうきんなところもいいです。
「見せ方」も上手だと思います。
いい意味での「ハッタリ」。
隊長がいるから、隊長が言ったから、きっと大丈夫だ!と
思わせてくれる人です。
どんな人とでも、物おじせず対等に普通にしゃべってしまうし。
器が広いですね。

飲み二ケーションも、いいんじゃないかなと思っています。
ちょっとしたことでも上司や先輩に言える「環境づくり」が
できていると思います。
それは、隊長がつくってくれているもの。
そのお蔭で、私たちも気持ちを溜め込まずにいられます。

みんなに言われてしまいましたが…
スゴすぎないところがありがたいです。
常に僕たちの近くにいて、離れすぎない。
背中を示しつつ、しっぽをつかませるような位置に
いてくれるというのでしょうか、
こちらのレベルに合わせてくれていると感じます。
時に、弱さも見せてくれますし。
「僕たちを見ていてくれている」と実感します。
屋良隊長との訓練だと、100%の力が出せる。
屋良隊長が引き出してくれている、と思います。
追っかけやすい背中を見せてくれているところが、
とてもすごいです。

そうか!
あまりできすぎるリーダーだと、
俺たちがつかめなくなるからなぁ。
(一同、笑い&納得)


※ 声をかけ、背中に手を添えるリーダーの姿は印象的でした。

◇ 副隊長
では、そろそろ隊長を呼びますか。
(無線で…)隊長、もう言いきりました!

(隊長、再登場)

◇ 紀々
消防士さんは、モテるという噂を聞きましたが…

屋良隊長
私は、そういうことはなかったですが(笑)
職業でモテるようではいけない。
人としてモテるような人間でなければ。
オレンジ服の時だけでなく、
普段着でもカッコいい人でなければいけない、
といつも言っています。

◇ 紀々
救助隊でよかったと思うのは、どんな時ですか?

屋良隊長
ひと言で…「チームワーク」。
みんなが自分の仕事に誇りを持っている、
それが合致した時です。
俺が、お前を助ける。お前が、俺を助ける。
そんな信頼があります。
一人だったら、無理です。
暗闇だって怖いし(笑)

◇ 紀々
このメンバーになって一ヶ月と聞きましたが、
一ヶ月で、ここまでまとまれるのですか?

屋良隊長
人の好き嫌いを言っていては、救助隊のプロにはなれません。
「このチームで」と言われたら、誰とでも一緒に動く。
いつもこの5人で、そして、いつもあの車で行くのですから。
カッコよく言うと「絆」。
この絆があるのは、私がまとめているというよりは、
みんなの気持ちが「まとまる」、という印象です。

命を預かっているし、命を預けている。
助けられなかった時のことを考えると恐怖もある。
これはみんな同じ気持ちだから、まとまる。
そう感じています。


※ 「カッコいいポーズで」とお願いしてみました!

◇ 紀々
最後に…救助隊にとって「一番大切なこと」は何でしょうか?

屋良隊長
「必ず、助ける」という気持ちです。

(感動の空気が流れたところで…)

決まったかな?

(一同、大笑い)

紀々さん、ここ以外(事故現場)で
私たちに会ってはいけませんよ。

◇ 紀々
はい、気をつけます。
今度は、西消防署にうかがってもいいですか?

屋良隊長&隊員の皆さん
それは、是非どうぞ!


※ インタビュー前に、とある担当者決めの…ジャンケン!

・紀々の哲楽メモ・

もしも、このチームに名前をつけるとしたら…チーム「絆」。
これが、私の印象でした。
プロとしての日々の恐怖を克服する力となっているのは、絆。
そう感じたからです。

絆があるから怖くないのか、怖さがあるから絆が生まれるのか…
わかりませんが、そう感じたのでした。

「記事になると、カッコよすぎだなぁ」と笑う屋良隊長ですが、
やっぱり、カッコいいプロだと思いました。

あと、もう一つ気づいたことがあります。
部下に信頼されるリーダーは、部下を信頼している。
これも、どちらが先なのか…哲楽テーマとなりそうです。

怖さを超える強さを、人は、どうしたら持つことができるのか?

「社外に手ごわい相手がいると、内部はまとまるのかも」
とある別の現場で、そんな話が出たことを思い出しました。
災害・事故といった、
とてつもない「手ごわさ」がある現場だからこその絆なのかも知れません。
でも、これは
他の職種でもきっとヒントになると直感しました。
引き続き、考えていきたいと思います。
機会があれば、またお話をうかがえたらうれしいです。

このインタビューを通じて、まちがいなく
私にとって「オレンジ色」が特別な色になりました。


※ 私の身近な…オレンジ色。


※ 貴重なインタビュー、本当にありがとうございました!

西消防署へうかがいましたので…「番外編。」も、どうぞ!

・追伸・
医療系フリーマガジン「ドクターズプラザ」2014年3月号の健康インタビューでも、
思いがけず、屋良隊長へのインタビューを担当させて頂きました!




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